神社・仏閣

ひと粒のお米には7人の神様がいる?どんな神様なの?

投稿日:2017年8月17日 更新日:

子供の頃、おばあちゃんによく言われました。

─「お米ひと粒の中には、7人の神様がいる。
だから残したらいけねえよ。」

─「7人の神様ってどんな神様なの?」

大人になって、この疑問に取り組んでみたので、ご紹介しますね。

 

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7人の神様には3つの説がある

「お米一粒の中には7人の神様がいる」の言い伝えには、
3つの説があります。

 

①7人の神様は七福神

七人の神様は

  • 弁才天または弁財天べんざいてん
  • 大黒天だいこくてん(※2)
  • 毘沙門天びしゃもんてん
  • 寿老人じゅろうじん
  • 福禄寿ふくろくじゅ
  • 布袋尊ほていそん

の七福神です。

 

年の初めなどに七福神を参拝すると、
七つの災難が除かれ七つの福がもたらされる、
という民間信仰に強く結びついたご存在たちです。

いちばん、馴染みやすい説ではないでしょうか。

※2【参考】

神道での大黒天とは、秘密仏教(密教)の大黒天
(=ヒンドゥー教のシヴァ神の化身マハーカーラ)が
もとになっています。

日本土着の神道大国主命秘密仏教の大黒天が、
神仏習合して出来上がった神様のことです。

神仏習合とは、混ざりあい一つの新しい信仰体型として
再び構成されることを意味します。

(参考サイト:WikiPedia 大黒天

 

②五穀豊穣祭の七貴人(しちきじん)

七貴人とは、高千穂神楽たかちほかぐらの中の、
「農神の舞」に登場される大国主命おおくにぬしのみことと御子神の七神のことです。

高千穂といえば、「天孫降臨」の聖地で有名ですね。

天照大御神が、孫神である瓊瓊杵尊ににぎのみことに、
斎庭ゆにわの稲穂をもたせて地上に降臨させました。

その地が、宮崎県の高千穂といわれています。

 

③大国主命の7つの別名

大国主命おおくにぬしのみことは、たくさんの別名のある神様で、
働きの違いやご神徳をあらわしているとされます。

たとえば、大国魂神おおくにたまのかみ顕国魂神うつしくにたまのかみ大物主神おおものぬしのかみ
大己貴神おおなむちのかみ志固男神しこおのかみ八千穂神やちほのかみです。

大国主命は、神話の中で、
いくつもの試練を乗り越えた粘り強い神様で、
大やけどを負った白ウサギを手当てする
心優しい神様でもあります。

また、瀕死の状態から生き返ったよみがえりの神様でもあります。

たくさんの兄神が、
求婚したいと狙っていた八上姫やがみひめ()に好かれ、
また、神格の高い素戔嗚神すさのをのかみの娘である須勢理姫すせりびめの心を射止めた
モテる神様でもあります。

そのため、出世の神とも、開運の祖とも、
その徳の高さから別名の多い神なのです。

 

お米一粒の中の神様は

①の説の中の、大黒天は、
神道の大国主命と密教の大黒天が融合されて出来たものなので、
どの説にも、大国主命がいます

七福神説がいちばん、親しみやすい説ですが、
七福神の神様たちは、出自や個性、働きがバラバラで
お米一粒の中に、
みんな一緒にお入りいただくのはちょっと難しいでしょう。

また、古代より農耕民族であった日本人の歴史において、
お米、つまり、イネは、日本の民の命を養い、
代々、命をつないできた、貴重な食べ物なので、
純国産の神様にする方が自然です

そういうわけで、7人の神様は、
日本の国土の神である大国主命とその御子様の神様たち、
または、大国主命の7つの神名をあらわしている
という説がふさわしいようです。

 


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一粒のお米は子孫繁栄をあらわす

1本の稲穂には、60~100粒くらいのおコメの粒がつきます。

1粒の種もみから、1本の苗ができ、
そこから茎が増えて10本くらいの稲穂になります。

なので、1粒の種もみから、
600から1000粒のおコメがとれるのです。
600~1000粒の種もみから、また、
それぞれ600~1000粒のおコメがとれます。

たった一人の祖先から子孫の増えるイメージです。

田植え機で、田んぼに苗を植える時には、
一株、5本くらいの単位でまとめて植えます。

その5本が育っていくと25本と増えてきます。
それを精製した後に残る白米は、
だいたいお茶碗に1杯くらいです。

 

お茶碗1杯のお米をとるために、
昔はもっと大変な手作業で米作りをしていたのです。

「お米ひと粒に7人の神様」は、
四季の移り変わりを見て
昔の人が行っていた「お米作りのプロセス」
を言いあらわしている
ともいえます。

ひと粒の中に込められた、お米作りのプロセスに、
たくさんの苦難を乗り越えて名前を変えてきた大国主命が重なり、

お米をはじめとする農事を守る大地の神としての、
大国主命と、その御子神である農神たち、
がひと粒の中に「生命」として宿っている、
ということなのでしょう。

 

一粒のお米と神話のルーツ

イネの化石で一番古いものは、
岡山県の遺跡から、
今から3500年くらい前のものが見つかっています。

お米作りが始まる前の日本の人口は20万人程度だったのが、
室町時代から戦国時代には
1500万人までになったといわれています。

室町から戦国時代の270年間で、
水田開発や整備がすすみ、
国土の人口扶養力が、飛躍的に高まったといいます。

江戸時代後半にはさらに3000万人に増えました。

お米の扶養力があってのことです。

イネの栽培は、
気温が高く水の豊かな日本の気候と風土に合っていて、
たくさんお米が穫れました。

イネと日本の風土との相性が、素晴らしく良かったのですね。

神社には、五穀豊穣と子孫繁栄を感謝して、
お酒やお米の奉納があります。

神話には、お米のルーツとして、有名な話があります。

 

天上の神々の国である高天原から、
天照大御神の孫である瓊瓊杵尊ににぎのみことが、
豊葦原の瑞穂の国(神話での日本の名前)に降臨する時に、
天照大御神から

─「この高天原で育った稲穂を地上に植えて、
この国を天上のように平和で穣り豊かな安定した国にしなさい。」

と、いわれ、斎庭ゆにわの稲穂を手に持って天下りました。

大国主命は、この天上から降りてこられた神々に、
国土の統治権を譲り、
大地の神としての神格はそのままで、
出雲大社で祭られることになりました。

 

この神話からいえることは、
子孫繁栄と安定した国造りには米作りがかかせないこと。

そのお米は、天上の国からもたらされたともいえるほど、
日本の風土によく合い、
日本人の食を支える大切な食べ物になったということ。

「一粒のお米には7人の神様がいるから、一粒も残さず食べなさい。」

昔の人が言い伝えたかったのは、
「お米一粒」の尊さだといえますね。

 

※筆者注:斎庭とは、神事を行うために清められた場所。

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