秋は月を愛でる最高の季節。お月見は中秋の名月だけではありません。旧暦9月13日の十三夜のお月見「後の月」の風習と、江戸時代に流行した「月待ち行事」について、ご紹介します。
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十三夜のお月見「後の月」
旧暦8月15日の満月から、また次の満月へと巡っていく、旧暦9月13日の十三夜に、
もう一度お月見をする習わしがありました。
これは、日本独自の考え方から生まれたようで、
中秋の名月の後のお月見なので、「後の月見」「後の月」といいました。
旧暦8月15日の芋名月に対して、
この頃は、栗や枝豆の収穫期と重なるので、別名、栗名月、豆名月 ともいいました。
はじまりは、宇多天皇(在位887~897)が九月の十三夜に催された、
月の宴 に端を発しているといわれますが、はっきりとはわかっていません。
旧暦の行事は、農事や作物の収穫をお祝いする習わしと深く結びついていて
9月の十三夜が晴れるかどうかで、翌年の豊作を占う行事でもありました。
中秋の名月のお月見だけでは、片月見(片見月)といい、縁起が良くないとされました。
現在でも、中秋の名月の時期は台風が多く、すっきりしない天気が多いですが、
後の月の頃は、夜空が晴れ渡ることが多く、「十三夜に曇りなし」ともいわれました。
十三夜 | |
2017年 | 11月1日 |
2018年 | 10月21日 |
2019年 | 10月11日 |
2020年 | 10月29日 |
十三夜の月は、満月ではありません。これから満ちて満月になろうとする月です。
完全ではない、少し欠けている部分のあるところに、情緒や趣をみるのは
日本人ならではの美意識「不足の美」につながるのかもしれません。
「不足の美」の美意識には、均整のとれた完璧なものよりも、
あえて、何かが欠けているような不完全なものに、情をうつして、
美に対する感覚を研ぎ澄ましたり、イマジネーションを高める効果があるそうです。
そんな十三夜の月に、特別な美しさを見出した宇多天皇の御心に多くの人が共感をえて、
今に伝わったともいえましょうか。
日本の慣習や文化には、
毎年毎年同じことを繰り返して、その繰り返しの中に
その年ならではの新鮮さを楽しむ心があり、
また、二つのものが一つとなって、より完全になるという思想がありました。
十三夜の月の、あえて見えない部分の影に、あなたは何を想うでしょうか・・・。
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江戸時代の月待ち行事
ある形(月齢)の月が昇ってくるのを待って、
多くの人が集まってお供え物をしたり、飲食をしたりする、
宵越し行事 が江戸時代に流行りました。
月の十三日、十七日、十九日、二十三日が特に盛んだったようです。
月の神仏を拝む信仰とも結びついていたため、
現在でも、神社やお寺の境内の中に、月待ち塔 を見ることがあります。
月の出は毎日50分~1時間ずつ遅くなりますが、
秋になると間隔が短くなるので、月待ちしやすいのです。
電気のなかった時代、夜は月明りとともに、人々の暮らしがありました。
月の出を待ちわびる昔の人々の心が、温かく伝わってくる言葉があります。
まだかな、まだかな、と待っていると・・
ためらうように(いざようように)出てくる 十六夜(いざよい)月、
最初は立って待っていた 立待月(たちまちづき)も、
次の日には、座って待っている 居待月(いまちづき)、
だんだん夜が遅くなり、寝て待っていないと出てこない 寝待月(ねまちづき)、
夜も更けてからやっと出てくる 更待月(ふけまちづき)・・・
十五夜の満月、十三夜の月だけではなく、
人恋しくなる秋の夜長に、あなたの好きな月を見つけてみてはいかがでしょうか?
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