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ベーシックインカムの導入国やメリット・デメリットは?日本で導入するか?

投稿日:2019年11月1日 更新日:

 

ベーシックインカムは、18世紀末に社会思想家トマス・ペインが提唱した制度です。

しかし、本格的に国レベルで、ベーシックインカムを導入している国はないようですが

最近では、ヨーロッパのいくつかの国で検証されたり、試験的に地域で導入しているところもあるようです。

最低限の生活費を無条件で支給されると、一体どんなメリットやデメリットがあるのか、多くの人が気になるところですね。

そこで、今日は、

この制度を試験的に実施している国々の事例を紹介しつつ、どんなメリットや
デメリットがあるかを考え、この制度について見ていきましょう。

 

 

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ベーシックインカムの導入国は?

では、地域レベルでベーシックインカム(BI)を導入している例を紹介しましょう。

 

(1)アメリカのアラスカ州

 

この地域は石油産業が活発で、そのため州の利益が豊富で、財源の確保がうまく行ってると聞きましたが、調べてみると、金額はかなり低いようです。

金額も1年間で1000~2000ドルで、日本円にすると約110,000~220,000円で、この仕組は、市民に与える配当金システムになります。

対象は州の居住者全員。

詳細は、以下のようになります。

  • アラスカ州でのBIの開始は1982年
  • アラスカ州の恒久基金の立案者:元州知事
    ジェイ・ハモンド氏
  • 支給対象はアラスカ州の全ての女性・男性・子供
  • 仕組み:当州が鉱山・石油・ガスの埋蔵量
    から得る収益の印税25%が、毎年州の恒久基金に
    収められ、そこから、アラスカパーマネント
    ファンドコーポレーションが、国内外の株式・
    債権・個人の株などに投資し、その利子収入が、
    毎年9月に、アラスカ州の住民に分配される仕組み。
  • 受給資格:
    • 申請前に一年以上、1月〜12月まで
      アラスカに居住していること
    • 支給される間ずっとアラスカに
      住み続けないといけない
      (海外に移住はできないし、数ヶ月
      海外旅行とかワンホリをすると、
      この分配金はもらえないかもしれません)

 

アラスカ州では、この制度は国民にとても支持されています。そのため、政治家にとっては、このBIのせいで政治の面で問題点があろうとも、何がなんでも知事選挙で全市民の投票数を確保するために、BIを実現さぜるを得ないと言う状況があります。

この制度は州のミネラルの印税と株への投資から得られる利子収入が資金源になっているため、どうしても、景気の影響を強く受けてしまう欠点があります。例えば、2015年、原油価格の急落のせいで、州の予算が大幅に不足し、当時の州知事のビル・ウォーカー氏は、2016年のBIの小切手の金額を年2052ドルから1022ドルに引き下げざるを得ませんでした。

2018年、共和党のマイク・ダンリービー上院議員は、アラスカの恒久基金配当を増やすことを選挙運動の公約に掲げて、知事に立候補し、その公約の中で市民に最大6700ドル(年間)を支払うことを約束しました。その結果、彼は選挙に圧勝したのです。

しかし、これは「こからその予算を持ってくるか」と言う大きな問題を作りました。その結果、公共放送予算カット、フェリーシステム予算の部分的削減、メディケイド(低所得者向け医療費補助制度)の予算から1億3000万ドルの削減、アラスカ大学システム予算から7000万ドル削減を実施しました。

このような多方面での大幅な予算カットをしてまでも、市民の投票数を得るためにBIを実現しようとする州知事選挙の実態が、BIが政策事態を大幅に変えてしまうことを示しています。

 

(2)フィンランド

2017年1月から、フィンランド政府が試験的な導入を開始しましたが、ベーシックインカム制度(BI)の試験運用を、終了期限の年の末から延長しないと決めました。

  • 対象者:失業中の2000人を無作為に選出
  • 支給額:毎月、一律560ユーロ(約74,300円)
  • 開始年月:2017年1月
  • 試験運用期間:2年間

 

フィランンドでBIを提案した人たちは、就労者全体と失業手当受給者の両方を対象としていましたが、フィンランド政府は、BIのことを良く理解しておらず、その焦点と範囲を限定的にしていたのが、失敗の理由のようです。

フィンランド政府で、BIに反対の立場をとる人の意見は、財源の確保ができないというのが、一番の理由のようです。

 

(3)オランダのユトレヒト

2017年の前半に開始予定のユトレヒトでのベーシックインカム。

  • 期間は2年間
  • 対象:250人のオランダ国民
  • 金額:約1100ドル(約124,000円)

この対象者は、6つのグループに分けられ、各グループ毎に受給のための労働条件があり、この条件により、支払額が変動します。

例えば、あるグループでは、ボランティアをすれば月末に、追加で161ドル(18,243円)支給され、

他のグループでは、前払い支給でお金をもらえますが、ボランティアをしないと返金しなくてはいけないとか。

ボランティアで無償で働かせて、その賃金を支払ってるようにもとれますけどね…。

 

(4)カリフォルニアのオークランド

 

シリコンバレーで最も成功を収めているY Combinator社は、2016年半ばに、オークランドに住む100の家族に、月1000ドル(約113,000円、1ドル113円として)から2000ドル(約226,000円)を支払うことを発表しました。

100の家族は、多様な社会・経済的地位から選ばれたそうです。また、この人達は、アメリカに留まらなくても受給ができます。

 

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(5)カナダのオンタリオ州

キャサリン・ウィン首相の決定により、2017年7月に、以下の制度が開始されました。

  • 対象者:貧困層4000人に限定
  • 期間:3年間
  • 実施内容:ベーシックインカム制度を
    試験的に導入
  • 受給金額:
    • 年所得が34,000カナダドル(約2,935,000円)
      以下の人は、年間、最大17,000カナダドル
      (約1,467,000円)を受給できる
    • 年所得が48,000カナダドル(約4,144,000円)
      以下のカップルは、年間、最大
      24,000カナダドル(約2,072,000円)を
      受給できる。(最大所得の50%

 

ということです。

しかし、カナダ・オンタリオ州の新首相ダグ・フォード氏は、この制度の導入実験を打ち切りました。

理由は、おそらくお金がかかりすぎということでしょう。

▼以下の写真の人が新首相ダグ・フォード氏

 

 

(6)スコットランドのグラスゴー

 

上の写真は、ベーシックインカム(BI)の導入を、スコットランドの議員が後押しした、と言う内容の記事のツイートです。

そして、2017年2月に、BIの実験の実施が、議会により可決されました。

イギリスのBIに詳しいシンクタンク「英国王立芸術・製造・商業振興協会(RSA)」と共同で、BIの試験的実験をしたようです。

2019年5月のBBCの記事を見てみると、既に実施中であり、以下のようなことが、記事に書かれています。

記事タイトルの和訳:2,400ポンド(≒336,882円)のベーシックインカムは、スコットランドの極度の貧困を根絶することができるか

この記事によると、現在の福利厚生制度を廃止して、BIに置き換えると、社会の貧困が根絶されると、国は見ているようです。

このBIの実験では、RSAと言うスコットランドの慈善団体が、スコットランドの全ての成人に、一年で2400ポンド(約336,882円)を支払って、年収を4800ポンドに増やす計画と言うもの。

年収が2倍に増加したら、そりゃ、皆さん、喜ぶはずでしょう。しかし、一ヶ月28,073円ポッチなので、これがあったら生活が楽になる、というわけではないようです。

しかし、このお金は子供も受け取れるそうですね。子供の場合は、金額が少しだけ低くなります。

 

(7)ドイツのベルリン

2014年から、民間人がクラウドファンディングを活用し、抽選で選ばれた人たちに、以下の条件でベーシックインカム(BI)を提供しています。

  • スタートアップ企業「マイン・グルントインコメン」
    (=Mein Grundeinkommen: 私のベーシックインカム)
  • 対象者:85人(うち子供10人)
  • 開始日:2014年
  • 金額:1000ドル(約11万6300円)/月
  • 期間:1年間

このクラウドファンディングは、約55,000人がインターネット上で資金提供を募り、UBIの給付に必要な資金を拠出しました。

 

(8)スイス

 

ベーシックインカムの導入の可否について、2016年2月に国民投票が行われました。

その結果、反対多数で否決されました。

理由は、財源不足、労働意欲の減退などの意見が多数だったからのようです。

また、平均所得の低い国々から沢山の外国人が、スイスに流れ込む可能性を懸念する人が多かったようです。

 

(9)ケニア

2016年10月に、GiveDirectlyという慈善団体が、歴史上、最もスケールの大きなベーシックインカムの実験を開始しました。

  • ①1つ目の実験
    • 開始:2017年前半
    • 受給対象:40の村
    • 期間:12年間
    • 金額:毎月約22.5ドル
  • ②2つ目の実験
    • 受給対象1:80の村
      • 期間:2年間の間一定額を受け取る。
    • 受給対象2:他の80の村々
      • 期間:2年間でもらえる合計額を
        一括で受け取れる。
    • 受給対象3:更に、100の村々
      • 条件:何も受け取らない。

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ベーシックインカムの導入のメリット・デメリットは?

◎デメリット

ベーシックインカムの財源を確保するのが、非常に難しいと言われています。

例えば、日本政府も、ベーシックインカムの財源確保について調べたようですが、

夫婦2人で生活している年金生活世帯の平均消費支出を見てみると、毎月、約24万円になります。

なので、毎月12万円を全ての国民にベーシックインカムとして支払ったとすると、年間で、173兆円もの財源を確保しなければ行けなくなるわけです。

しかし、現行の社会保障給付費(年金、医療保険、介護保険、福祉など)の
合計が117兆円しかないので、実現するためには、更に財源を作らなくてはいけないことになります。

このように、資金確保が非常に厳しく、それを無理に実現しようとすると、他方面の資金源が圧迫されてしまうことがデメリットです。

となると、ここで可能性としてどんな解決策があるか考えてみると…

 

  • 所得税を更に増やす
  • 高額所得者に更に高い課税をし、そこから資金を得る
  • 自衛隊を廃止して、その予算を全てベーシック
    インカムに回す(実現可能かどうかは別問題)
  • 在日米軍駐留基地を全て廃止して、
    在日米軍に支払ってきた「思いやり予算」を
    なくし、その資金を全てベーシックインカムに
    回す(実現可能かどうかは別問題として)
  • AIとコンピューターによる産業の自動化を行い、
    労働者削減・人件費削減を実施することで、
    物価を安くして市民の必要な絶対生活費を
    低金額にする。これにより、BIの提供金額が
    低くても市民の生活が楽になるようにする。

 

例えば、最後の在日米軍駐留経費負担額は、2018年度では、2000億円弱と見られます。
https://www.jiji.com/jc/graphics?p=ve_pol_seisaku-anpoboei20190312j-06-w400

 

 

◎メリット

とりあえず、現実的に困難であるのかどうかは置いといて、ベーシックインカムのメリットを見ましょう。

  • 人々が生活するために雇用に縛られる状況から解放し、
    生活費を稼ぐために奴隷のように働くのをやめて、
    当座の生活費を心配したり、失敗を恐れたりせずに、
    長期的に、自分がやりたい活動を
    仕事としてできる社会を実現できます。
  • 低所得者が所得を増やそうと努力をすると、
    政府からの公的支援が減少するので、
    貧困状態から抜け出せない状態を避けられます。
  • 年金や生活保護などの社会保障支出を、
    ベーシックインカムに一元化し、
    行政の無駄を削減することができる。
  • ベーシックインカムで最低限の生活が保障されると、
    企業年金などの福利厚生が整っていない
    非正規雇用の仕事でもやりやすくなります。

 

日本で実施する可能性はあるのか?

検討はされているようですが、先にあげたように、財源確保の面で、今の段階では実現は厳しいようです。

また、日本の労働市場では、以前は縦割りが非常に強く、終身雇用が主流でした。

しかし、1985年代に人材派遣法が成立、翌年に施行され、人材派遣業が日本社会で正式にスタートし、その後、バブルが崩壊して日本経済が悪化しました。これがきっかけとなり、直接雇用の人件費(固定費)を、人材派遣活用による「変動費」に置き換えたいと言う産業界のニーズが出たため、人材派遣が自由化されて行ったと言う流れがあります。

人材派遣で仕事をしている人たちに聞くと、正社員と派遣社員の間での収入格差もかなりあり、派遣社員制度が普及したせいで、派遣社員の仕事が安定しない、と言うデメリットがあります。しかし、もし、ベーシックインカムが日本で実施されれば、収入が少し低くでも、ベーシックインカムのおかげで生活が安定するようになり、自由に好きな仕事を選べる状況になります。すると、失業者が新しく仕事を探そうと言う意欲が出てくるのではないでしょうか?

そういう意味で言えば、日本の今の労働市場の正規雇用と非正規雇用と言う硬直した部分を、ベーシックインカム導入により、もっと自由で仕事を変えやすい環境ができ、市場経済もより活性化する可能性があります。

このようなことを考えると、日本でベーシックインカムを導入するには、資金源の確保の問題を解決すれば、導入可能ということになります。

 

仕事をして得た給料はどうなるのか?

ベーシックインカムをもらいつつ、仕事をしている場合、自分が働いて得た収入は自分のものならないければ、BIをもらっている意味がなくなります。

未来の話なのでここは確実なことは言えませんが、おそらく、BIが導入されれば、仕事からの収入は自分のものになるでしょう。

給料 + ベーシックインカムが自分の総収入となるので、生活がとても楽になります。

 

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ベーシックインカムとは?

ベーシックインカムのことを、まだ聞いたこともない人たちもいるので、この制度の基本的なところについて説明します。

ベーシックインカムは、年齢・性別に関係なく、全ての国民に、無条件で、ある一定の金額を皆同じ金額で定期的に支給する制度です。

無条件なので、どんな職業についていても、収入の差、失業中か否かに関係なく支払われます。

別の呼び名で以下のようなものがあります。
・基本所得保障
・最低限所得保障
・国民配当

この制度の目的は、「全ての国民が衣食住において最低限の生活を営むことを保障すること」です。

しかし、生存権を保障する制度として、既に以下のようなものがあります。
・失業保険
・子育て支援
・生活保護

もし、ベーシックインカムが導入されると、そのための財源を集めるために、上の保障制度は廃止される可能性が高いです。

そして、国民の生活保障は、ベーシックインカム一本になるでしょう。

 

まとめ

皆さん、いかがでしたか?

ベーシックインカムは、実現できれば働く人の意欲もでるし、生活にゆとりがあれば、新しい目標に向かって頑張る意欲も出てきます。

仕事がない人は、生活の心配なく、新しい仕事を、落ち着いて探すことも可能です。

日本では、財源の確保が難しいようですが、思い切った財源確保のための改革を行えば、ベーシックインカムの実現も可能性があります。

 

これからの社会変革に期待しましょう!

 

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