![]() |
▲ 国連本部 |
核兵器禁止条約の採択
核兵器禁止条約が、ついに、2017/6/7に国連本部で採択された。日本の多くの人たちが、この日を待ちわびていたでしょう。
しかし、被爆国である日本はアメリカに同調してこの条約に署名しませんでした。
今日はこの条約に賛同しなかった国々の理由についてそれが正当なのかどうか考えてみたいと思います。
目 次
スポンサードリンク.(Sponsored Link)
核兵器禁止条約に賛同しない国々
この条約について、アメリカ、イギリス、フランスは共同声明でこの条約に署名するつもりはないと宣言しました。また、核保有国のロシア、実質的核保有国のインド、パキスタン、北朝鮮、イスラエル、米国の傘に依存する日本、ドイツ、韓国、ポーランド、イタリア、カナダが不参加でした。
アメリカ・イギリス・フランスは、核抑止政策とあいれないとして、核兵器禁止条約に真っ向から反対しています。
彼らは、核兵器の抑止政策が平和維持に大いに貢献してきていると考えています。
この核抑止とは、核兵器を持つ二国間で、互いに核兵器の使用が躊躇される状態を作り出し、結果として、核戦争を回避する考え方をいいます。
また、非核保有国が核兵器を製造しようとすると、核保有国が自分たちが保有する核兵器の力でもって、非核保有国の核兵器開発を止めさせようとする場合もあります。(今の北朝鮮が良い事例)
しかし、このいずれの場合も、一歩間違えば、核兵器の使用に発展してしまう危険性があるのです。
また、核抑止という力は、それを信ずる者には有効ですが、信じない者には何の意味もありません。だから、核抑止というのはただの妄想にすぎないのです。
9.11テロ事件
9.11テロ事件以降、対テロリスト戦争という名目でテロリストを攻める西欧諸国の戦争が続いていますが、ここで、1人の気の狂った兵士または血迷った国の代表が、核兵器発射ボタンを押してしまうと、それが雪崩式に核戦争へと発展していく危険性があります。
核攻撃を受けた国は、おそらく、冷静な判断ができなくなるなるでしょう。どうせ核兵器で攻撃されたのなら、一発も二発も変わりはないので、核兵器で敵国を先に破壊しつくしてやると考えると、そこで核戦争の始まりになるのです。
核抑止政策は、核の軍事力で相手が反撃するのを抑え込んだり、相手が核兵器を製造するのを抑え込む政策だと思いますが、それは、自国が他国の核兵器により攻撃されるのを防ぐために、自国でも核兵器の増強をしなくてはならなくなると思います。
その良い例が、インドやパキスタンなどの少ない核兵器を持つ国々です。
それにテロリストの攻撃なども考慮にいれると、これは、核兵器の使用を止めるための政策ではなく、核兵器の力を維持し、その力を利用しながら、敵に攻め込まれないようにするための政策です。下手すると、他国を制圧することも含まれていると思います。
Sponsored Link
劣化ウラン弾
その良い例が、劣化ウラン弾だと思います。核燃料に使用される原料である天然ウランから、廃棄物となって残るウラン238を使って劣化ウラン弾を製造して、他の国々を攻撃するのに使用してきていることはすでに知られています。
例えば・・・
アメリカは、1991年湾岸戦争でイラク戦のときに劣化ウラン弾を使用したと言われていますし、イラク戦争でも、アメリカ軍は劣化ウラン弾を大量に使用したと言われています。
広島・長崎の原爆投下を繰り返さない
そして、何よりも私たちが考えなくてはいけないのは、アメリカが、日本の広島と長崎に核爆弾を落としたということです。
この2つの核爆発により、
- 広島・長崎で、129,000から246,000人が死亡
- 広島では、90,000から166,000人が死亡
- 長崎では、39,000から80,000人が死亡
したと言われていています。(上の死亡した人数は、WikiPediaの日本への原子爆弾投下から引用しております。)
おそらく、核爆発した瞬間に、この人数のうちのかなりの割合の人たちが死亡し、そして、生き残った人たちも苦しみながら死んでいったと考えられます。
一瞬のうちにこれだけの人数を殺してしまうほど残忍な犯罪は、人類史上他には類がありません。あのナチのユダヤ人大虐殺でさえ、数秒間に殺害したユダヤ人の人数は広島・長崎には遥かに及ばないでしょう。
この人類史上最悪の犯罪が将来二度と繰り返されないようにするためには、人類の社会から核兵器を全てなくさなくてはいけません。
平和維持のために、核兵器を存続させる正当な理由はどこにもありません。
核兵器禁止条約に参加する国々は100カ国以上になる見込みで、核禁に反対する米・英・仏は少数派になります。
核兵器禁止条約に署名するというのは、人類の社会を平和な社会にする意思を表明することであり、その実現を固く誓うということです。
この条約に反対するということは、平和な社会を実現する意思が全くないということのあらわれだと思います。
そして、日本政府は、この条約の署名を拒否しています。
日本政府は、この条約に署名することが、北朝鮮の脅威など現実の安全保障問題の解決に結びつくとは思えないと、三月の交渉会議初日に発言しました。
核兵器の廃絶を主張する場合には、やはり、核保有の現状を知らないといけません。そこで、核保有国の一覧をみてみます。
スポンサードリンク(Sponsored Link)
核保有国の一覧
WikiPediaの核保有国の一覧の記事の中にある「各国の核兵器の概数」から数字を引用してみると、
国名 | 戦略核弾頭数 | 核弾頭数合計 |
NPTにおける核保有国(五大国) | ||
アメリカ合衆国 | 2,126 | 9,400 |
ロシア | 2,668 | 13,000 |
イギリス | 160 | 185 |
フランス | 300 | 300 |
中国 | 180 | 240 |
その他の核保有国(NPT非批准国) | ||
インド | 60 | 60-80 |
パキスタン | 60 | 70-90 |
北朝鮮 | 10以下 | 10以下 |
核保有の疑いが強い国 | ||
イスラエル | 80 | 80 |
※NPT: 核不拡散条約
引用終わり
この情報は、2009年に発表されだ統計「Status of World Nuclear Forces 2009」を参考にしていますが、その時点で、
- 北朝鮮は10以下
- アメリカは合計9,400発
です。
そして、WikiPediaのEnblish版の方(「List of states with nuclear weapons」)をみてみます。
こちらは、“Federation of American Scientists: Status of World Nuclear Forces”(2017年)をもとに作成された一覧です。この数字を引用してみます。見出しなどは翻訳しました。
国名 | アクティブな 核弾頭数 |
合計数 |
NPTにおける核保有国(五大国) | ||
アメリカ合衆国 | 1,800 | 6,800 |
ロシア | 1,910 | 7,000 |
イギリス | 120 | 215 |
フランス | 280 | 300 |
中国 | n.a. | 270 |
その他の核保有国(NPT非批准国) | ||
インド | n.a. | 110-120 |
パキスタン | n.a. | 120-130 |
北朝鮮 | n.a. | 0 |
未申告の核爆弾 | ||
イスラエル | n.a. | 80 |
引用終わり
アメリカとロシアの核弾頭数は、一覧の中では圧倒的な数で、アメリカが6,800発、ロシアが7,000発です。これに対し、北朝鮮は0発です。 →この一覧では0発なのですが、最近のニュース報道によると、北朝鮮は核兵器を13発〜30発は持っていると指摘しています。
このように各国の核兵器の所有数を比較すると、やはり、アメリカとロシアが一番トップにきていることから考えると、もし、現在進んでいる対テロリスト戦争がさらに拡大化した時に、一番怖いのは、アメリカとロシアだと思います。
しかし、隣国の北朝鮮が、13発の核兵器を持っている可能性があるのは、やはり見過ごすわけにはいきません。
核兵器を飛ばすためには、長距離弾道ミサイルなどが必要となりますが、北朝鮮の長距離弾道ミサイルの技術はまだ初歩的段階で長距離は飛ばせないとうのが韓国の情報局より発表されています。
また、ロケットに搭載できるように核弾頭を小型化する技術はまだ開発されていないようです。
すると、とりあえず、北朝鮮に関しては、今のところアメリカやロシアと比較すると、取るに足らないことだと言えます。
また、たとえ、北朝鮮が核兵器を13発もっていたとしても、それを使って戦争を起こすのは自殺行為だと思いますし、隣国である中国や韓国、そして日本、また、ロシアなどがそういう戦争を全く望んでいませんので、戦争に進む危険性はおそらくないないのではないでしょうか。
では、どのように対処すべきかというと、それは、やはり、大量の核兵器を所有しているアメリカ、ロシア、そして、英国、仏、それ以外の核保有国の全てが、核兵器禁止条約に賛成し、自国の核兵器をゼロにしていかなくてはいけないと思います。自分たちが率先して核兵器廃絶を実践いていけば、北朝鮮も素直に、核兵器製造なんかやめると思います。
テロリスト国家
そして、核抑止の考え方で、一番心配されていることは、テロリスト集団や、テロリスト国家が、戦争で核兵器を敵国に対して使ってしまうことです。
ここで重要なのは、テロリストと言った時、ISISのことを連想されるかもしれませんが、ISISは、超大国であるアメリカがシリア周辺のガス資源を手に入れたいがために、作り上げたものだとも言われています。そして、ISISがシリアで戦争を広げていく中でシリアを崩壊させ、そのあとに、そこにあるガス資源の権利を手に入れたいというのが、アメリカの狙いであるとも言われています。
そこで、私たちは、テロリストと言った時、その言葉の意味を正しく理解した上で、考えなくてはいけないということです。
テロリストとは、人々の恐怖心を煽ることにより、自分たちの政治的目的を達成するため、組織的に暴力的行為を行う人々や組織のことを言います。
政治家や軍人を狙うテロスリトと、民間人を手当たり次第攻撃するテロリストがいます。
こう言う意味では、現在のアメリカ、そして、イスラエルなどが挙げられます。
Sponsored Link
a) アメリカのシリアへの対応
アメリカについては、つい最近の出来事で、証拠がはっきり公開されてないのに、シリアが化学兵器を使ったとして、米軍が、7月6日夜、シリア・アサド政権の空軍基地に約50発の巡航ミサイルを打ち込みました。
この化学兵器の使用と言われているのは、シリア北西部のイドリブ県で7月4日に、化学兵器による空爆が行われ、それにより、こどもを含む少なくとも70人が死亡した出来事です。(NewsWeekの記事: 「トランプ政権、シリアにミサイル攻撃 ロシアは侵略行為と非難」を参考)
これについてはシリア・アサド政権は、化学兵器の使用を否定しています。
※参考URL: 米軍がシリアにミサイル攻撃、化学兵器「使用」への対抗措置
これに対するロシアのプーチン大統領の発言をみると、以下のような指摘がされています。
- 米国のシリアへの攻撃は、主権国家に対する侵略行為である。
- 化学兵器によるシリア政府の市民への攻撃は、作り上げられた口実である。
- 作り上げた口実のもと、アメリカ軍はシリア攻撃をした。
- アメリカのシリア攻撃は、イラクでの一般市民の死から世界の関心をそらすためのものである。
- ロシアの報道官は、ロシア政府はシリアが化学兵器を持っているとは思っていないと発言。
さらに、シリアでの化学兵器の使用とされる日からアメリカがシリアに攻撃した日までは二日足らず。この間に、アメリカがシリアで一体何があったのかを詳しく調査したとは思えません。
このように、アメリカとロシアで全く見解が相反していている場合は、その双方で何が利益となるかなどを考え、また、アメリカが何をしているのかということも考えていかなくてはいけないと思いますが、この場合、おそらく、アメリカがシリアでの化学兵器の調査を行わず、ただちに、攻撃したと言えるのではないでしょうか。それに対するロシアの批判と言えるでしょう。
b) イスラエルのパレスチナ侵略戦争
対テロリズム戦争や北朝鮮のミサイルなどが、国際ニュースで取りざたされているようにも思えまずが、イスラエルのパレスチナ国家への侵略戦争も見落としてはいけないと思います。
イスラエルは、自分たちの政治的・「宗教的」理由から、パレスチナに対して侵略戦争を続けています。どのような戦争行為かと言いますと・・・
- パレスチナの女性や子供、年老いた人達に対して、軍隊による差別的・暴力的な行動をつづけ
- 子供達を石ころをイスラエルの戦車に投げたという不当な理由で逮捕し、無期限に勾留しつづけています。
- パレスチナ市民の多くの家屋を破壊しつづけていて、家屋を失ったパレスチナ人たちは悲惨な日々を過ごさなくてはいけません。
- パレスチナ市民の土地を分離壁を建設して奪っていきます。
これはイスラエルがパレスチナに対してしていることのほんの一部分ですが、これも国際法違反なのではないでしょうか。
このようなテスロリト的行為をしている国々が、戦争が拡大化していったときに核兵器を使用したら・・・と考えると、そら恐ろしいことです。筆者はそのような自体はは絶対に避けなくてはいけないと思っています。
c) イスラエルの大量破壊兵器
核兵器の数について未申告の国イスラエルにおいては、この国が核弾頭を何発持っているかというのは実質わからず、上の一覧の80というのは推測に過ぎません。
このように、イスラエルは大量破壊兵器を持っているとは申告していませんが、国際社会からは持っていると広く信じられています。
核兵器全廃を目指して
人類が平和な社会に入るためには、核兵器を全廃しなくてはいけません。
核兵器がもし使用されたら、それは破局的な結末を人類にもたらすでしょう。
そのような事態が起きる可能性は、現在の混沌とした世界情勢をみてみると、非常に大きいのではないでしょうか?
そのような結末を阻止するために、私たちは核兵器の全廃を誓わなくてはいけないと思います。
全ての国々から。
スポンサード・リンク (Sponsored Link)....