─「卵の食べ過ぎは良くないよ」 と、子供の頃にお母さんが良く言ってくれたあの説明は、実は、間違いであったって、皆さんご存知ですか? 私は、特に卵かけご飯が好きなので、これは朗報です。 そこで、今日は「卵を食べ過ぎるとコレステロールが増加する」が何故間違いなのか説明していきますね。 |
目 次
スポンサードリンク.(Sponsored Link)
卵を食べるとコレステロール増は間違い?
メタボリック症候群患者が全卵を毎日食べるとどうなったか?
卵を1日に1個以上食べるとコレステロールが増加すると昔から良く言われて来ましたが、2012年12月のメタボリズムと言う医学雑誌に掲載された研究で、それが本当ではないと言うことがわかりました。 この実験では、
の2グループを用意し、どちらも12週間実験をしたそうです。 全卵を食べている人たちは、普段の2倍以上のコレステロールを摂取していることになります。炭水化物は、総エネルギーの約25~30%まで制限しました。 すると、メタボリック症候群患者の減量食に毎日全卵を加えると、
と言うことがわかったらしいです。 この研究でわかったことを具体的に説明すると、
と言うことでした。 このことから、全卵を1日に1個以上、毎日食べても体に悪影響はないということがわかります。 私も早速、一回の食事で遠慮なく生卵2個をオートミールに入れて、醤油をかけて食べています。(*^^*) |
【代用卵とは】
代用卵とは、卵に対してアレルギーを持つ人や、糖尿病、肥満などでカロリー制限食をとっている人、ベジタリアンなどが食べるものとして卵の代用品として販売される卵液状態の食品のことです。
作り方は、卵の白身に脱脂粉乳と黄色色素を加える方法と、完全な植物性の原料としてとうもろこしデンプンとじゃがいもデンプンなどにゼラチンやアルギン酸ナトリウムを添加して作る方法があります。
完全な植物性のものはアメリカなどでべジタリアン向けとして販売されているようです。
食事摂取基準からコレステロールの記載が消えた?
卵が体内のコレステロールを増加させることが間違っていることがいくつかの研究でわかってくると、食事摂取基準に今まで書いてあったコレステロールに関する摂取基準も、そのまま記載を載せ続ける根拠がなくなってきます。 食事摂取基準は、日本人が健康を保持・増進するために望ましいエネルギーや栄養素の量の基準を厚生労働省が定めたもので、5年ごとに改定することになっていますが、 この2010年版を見ると、コレステロールの目標量が「成人男性:750mg未満/日、成人女性:600mg/日」と記載されていましたが、2015年版ではその記述がなくなりました。 このように2015年版の食事摂取基準からコレステロールが消えたのは、女子栄養大学栄養生理学研究室教授の上西一弘氏の説明によると、コレステロールは体内で合成できる脂質なので、食事から摂取するコレステロールの影響は少なく、コレステロールの摂取目標量を決める科学的な根拠が少ない、と言うのが理由でした。 |
コレステロールの合成は?
では、体内でコレステロールがどのように合成されているのか、その仕組などを簡単に説明します。 血中コレステロールの80%は、肝臓で合成されます。 なので、コレステロールを含む食べ物から、コレステロールが100%体内に吸収されるわけではありません。 食事て摂取したコレステロールのうち、体に吸収されるのは、その1/3~1/7くらいです。 コレステロールは、体内の細胞膜を構成し、神経を保護し、胆汁酸、ホルモン、ビタミンDを作る大切な材料にもなり、体にとって必要不可欠です。 なので、毎日、不足しないように体内で合成することで、食事だけに頼らなくて良いように体の仕組みができています。 |
コレステロールの自動調節機能は?
すると、コレステロールを含む食べ物を食べ過ぎたらどうなるのでしょうか? 体内のコレステロール値が上昇すると、動脈硬化などの疾病に関連するので、心配になる人はいますよね? また、逆にコレステロール値が低くなりすぎても、脳内出血の頻度が高まってくるので良くありません。 このように、コレステロール値は高すぎても低すぎても良くありません。 コレステロールを食事から多く摂取しすぎると、体内でコレステロールは少く合成され、食事から摂取されたコレステロールが少ないと、体内でコレステロールが多く合成されます。 健康な人であれば、このようにして、体が自然に体内のコレステロール量を一定に保ちます。 |
コレステロールの摂取制限が必要な場合とは?
健康な人なら、コレステロールを気にして卵の食べる量を制限する必要はありませんが、高コレステロール血症の人の場合は、食べすぎに注意したほうが良いようです。 |
卵黄に含まれるレシチンの働きは?
卵を食べても体内のコレステロールに影響しないと言うのは、卵黄に含まれるリン脂質「レシチン」のおかげです。 卵黄の30%はリン脂質で占められており、その70%以上がレシチンが占めています。 このレシチンを作っている成分は「コリン」であり、肝臓で他の脂質の正常代謝を助けます。 このレシチンには、LDL(悪玉)コレステロールを減らし、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きがあります。これにより、血管の内壁にこびりついたコレステロールを乳化して運び、コレステロールが血管に沈着するのを防いでくれます。 その他のレシチンの働きを挙げてみると…
|
卵黄に含まれるレシチンの効果は?
卵黄に含まれるレシチンの効果は、以下のようになります。
|
卵は何個まで食べてもいいか?
毎日3個卵を食べてもコレステロール値が変わらないと言う実験結果があるほどだし、レシチンの働きにより、体内の悪玉コレステロールが減少すると言う効果があることもわかりました。 すると、1日に卵を何個までなら食べても良いのでしょうか? 極端な例なら、板東英二さんが東京から新大阪の移動中に最高9個のゆで卵を食べたと言う話がありますが… 多分、板東英二さんがそんなにたくさんの卵を移動中に食べられたのは、ゆで卵が大の好物であることも理由かもしれませんが、おそらく、その時は多忙で食事を全くとってなかったので、エネルギーをたくさん摂取したかったからかもしれませんね。 そんな板東英二さんも、お医者さんに言われて、卵の白身しか食べなくなったと言う坂東さん自身の証言もあるほどです。 コレステロールは黄身にしか含まれないので、白身だけ食べる場合は安心です。白身はカロリーも低く、ダイエット食になります。 ちなみに、卵1個(60g)のコレステロール値は 252mgで、これは、牛肉200g以上の量になります。卵って凄いんですね…。 カロリーで言うと、1個80kcalなので、10個食べると800kcalになります。なので、一回の食事のカロリーも計算しながら、卵を何個までなら、カロリーのとりすぎにならないのかも考えて食べましょう。 ここで参考にですが、厚生労働省が出している「食事摂取基準」より、1日の推定エネルギー必要量を引用します。▼ |
エネルギーの食事摂取基準:推定エネルギー必要量(kcal/日)
性別 | 男性 | 女性 | ||||
身体活動レベル | I | II | III | I | II | III |
0~5(月) 母乳栄養児 | – | 600 | – | – | 550 | – |
人工乳栄養児 | – | 650 | – | – | 600 | – |
6~11(月) | – | 700 | – | – | 650 | – |
1~2(歳) | – | 1,050 | – | – | 950 | – |
3~5(歳) | – | 1,400 | – | – | 1,250 | – |
6~7(歳) | – | 1,650 | – | – | 1,450 | – |
8~9(歳) | – | 1,950 | 2,200 | – | 1,800 | 2,000 |
10~11(歳) | – | 2,300 | 2,550 | – | 2,150 | 2,400 |
12~14(歳) | 2,350 | 2,650 | 2,950 | 2,050 | 2,300 | 2,600 |
15~17(歳) | 2,350 | 2,750 | 3,150 | 1,900 | 2,200 | 2,550 |
18~29(歳) | 2,300 | 2,650 | 3,050 | 1,750 | 2,050 | 2,350 |
30~49(歳) | 2,250 | 2,650 | 3,050 | 1,700 | 2,000 | 2,300 |
50~69(歳) | 2,050 | 2,400 | 2,750 | 1,650 | 1,950 | 2,200 |
70以上(歳)1 | 1,600 | 1,850 | 2,100 | 1,350 | 1,550 | 1,750 |
妊婦 初期(付加量) | +50 | +50 | +50 | |||
妊婦 中期(付加量) | +250 | +250 | +250 | |||
妊婦 末期(付加量) | +500 | +500 | +500 | |||
授乳婦 (付加量) | +450 | +450 | +450 |
(▲1日の推定エネルギー必要量の引用終わり)
そこで、前出の卵に関する研究や働きを考慮すると、健康な人なら1日に2~3個食べたくらいでは健康に悪影響は出ないでしょう。 もし、何かの理由で1日中何も食べてない場合は、一度の食事で10個食べても大丈夫だとは思いますが、栄養バランスはきちんと考えた方が良いですよ。 しかし、すでに高コレステロール血症と診断されている人や、病気の人、食事制限をしている人は、自分のかかりつけの医師や栄養士に、卵を何個まで食べてもよいのか確認するのをおすすめします。摂りすぎると、動脈硬化、心臓病や脳卒中になるリスクもあるので注意しないといけないです。 |
食べる卵の数と心筋梗塞のリスクは?
これまでの「食べる卵の数と心筋梗塞リスクの関連性」を調べるコホート研究では、卵を食べる数が増えれば増えるほど心筋梗塞リスクが増加すると言う結果が良く見かけましたが、日本国内で行われた研究では、それが違う様相を呈していました。 この研究は、平成2年(1990年)と平成5年(1993年)に、岩手県二戸、秋田県横手、長野県佐久、沖縄県中部、茨城県水戸、新潟県長岡、高知県中央東、長崎県上五島、沖縄県宮古、大阪府吹田の10保健所(呼び名は2005年現在)管内に住んでいた、40~69才の男女(約10万人)の人たちを、平成13年(2001年)末まで追跡した調査結果にもとづき、卵摂取の回数と心筋梗塞の発症率との関連性を調べた結果を報告しています。 この研究では、卵の摂取頻度により、4つのグループに分けられました。
そして、その後十年間の追跡期間に発症した心筋梗塞のリスクを、グループ間で比較したのです。 比較した結果は、卵を食べる回数が少ない人ほど、心筋梗塞になるリスクが低くなると言うわけではなかったようです。 ▲上図出典:https://epi.ncc.go.jp/jphc/outcome/290.html この研究結果からわかることは
と言うことであり、このことから、卵を毎日食べても心筋梗塞になるリスクは増えない事がわかりますね。 |
まとめ
皆さん、いかがでしたか? 卵に含まれるコレステロールは、1日に3個食べても体に悪さをしないのは、体が体内のコレステロールの量を自動的に調節してくれる機能があるからであり、また、卵に含まれるレシチンが、LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やす働きがあるから、と言うことがわかりましたね。 この記事で紹介した内容をまとめると
また、レシチンの効果は、コレステロール値を下げるだけでなく、動脈硬化疾患・胆石・老化の予防、肌の健康促進、肥満症・妊娠中毒症の予防、その他を紹介しました。 卵を1日に食べて良い個数ですが、卵はカロリーが高いので、1日の推定エネルギー必要量の範囲を超えない程度で、卵を複数個食べるのをおすすめします。 最後に、食べる卵の個数と心筋梗塞のリスクの関連性を調べるコホート研究を紹介し、毎日卵を食べても心筋梗塞のリスクは増えないことを紹介しました。 では、皆さん、健康に気をつけて卵をたくさん食べてくださいね。 |
スポンサード・リンク (Sponsored Link)....