さて、皆さん、前回は博多豚骨ラーメンズの博多弁を実際に見ていくということで、皆さんに馬場探偵の博多弁について説明をしました。(まだ読まれてない方は、こちらから先にお読みください)
→博多豚骨ラーメンズの馬場探偵の決め台詞!博多弁の意味は?Part1
馬場探偵の博多弁を知ってくると、博多の人の暖かい部分がなんとなく伝わってきて、ストーリーに息吹が吹き込まれてくるみたいですね。
では、今回も、引き続き、博多豚骨ラーメンズ1の小説の中から、博多弁のセリフを取り上げて説明していきたいと思います。
目 次
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「お兄ちゃんが取っちゃるけん」
馬場が警固公園で、重松刑事と落ち合った時、そこにいた「坊主」に言った言葉です。【博多豚骨ラーメンズの第一話、電子ブック版のP41から引用(以降、Pxx{xxは数字}とだけ記載します)】
この動詞のあとにつく「ちゃる」は、「~してあげる」という意味です。
【説明】
接続助詞の「て(で)」+補助動詞「やる」が接続して
発音が濁り、「ちゃる」「じゃる」と変化します。
さらに、終止形、連体形では、「る」がなくなり、「ちゃー」「じゃー」と発音されます。
【意味】
~してくれる、~してあげる
【例】
- 漢字がわからんとばってん、ちと教えちゃらん?→漢字がわからないのだけど、少し教えてくれないかな?
- きついんなら、指圧しちゃるばい→しんどいなら、指圧してあげるよ
- きちんと食べんと、いかんよう。私が毎日料理しちゃあよ。→きちんと食べないといけないよ。私が毎日料理してあげるから。(女子が多用し、上から目線)
一息ついてコーナー~「警固公園」
馬場探偵が重松刑事と落ち合った場所が警固公園。
その南側には警固神社があります。
↑警固公園
↑警固神社
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「そげん泣かんと」
警固公園で、馬場が子供がもってた風船が木に引っかかていたので、それをとってあげたと思いきや、いきなりそれを踏んづけて破裂させてしまいました。
それをみた子供は泣き出し、馬場がその子に向かって「あー、そげん泣かんと。もっといいもんばあげるけん」(p41)と言いました。
この文章で「そげん」という言葉が出てきます。
これは博多ではよく使う言葉でこれに似た言葉も幾つかありますので、まとめてご紹介します。
こげん、そげん、あげん、どげん
【意味】
こう(こんなに、こんな風に)、そう(そんなに、そんな風に)、ああ(あんなに、あんな風に)、どう(どんな風に)
【例】
こげん難しいとかいな?→こんなに難しいとかいなか?
そげん言ったってできんやろうもん→そういったって、出来ないでしょう
あげんしたって意味なかとよ→ああしたって意味ないんだよ
どげんしたと?→どうしたの?
【説明】
こげん、そげん、あげん、どげん、のように、最後に「ん」が来た場合、これらの言葉は、次に動詞とつながります。
動詞に対する副詞的用法です。
そげな、こげな、あげな、どけな
【説明・意味】
上にあげた「そげん」「こげん」「あげん」「どげん」ということばの最後の「ん」が「な」に代わると、これらの言葉は名詞を修飾して、そんな◯◯、こんな◯◯、あんな◯◯、どんな◯◯という意味になります。
【例】
- そげな事は聞いたことなかばい→そんなことは聞いた事がないよ
- こげな料理は食ったことなかばい→こんな料理は食べた事が無いよ
- あげなやり方ばすると良かとよ→あんなやり方をすると良いです
- どげな神経しとったら、そげなことすると?→どんな神経していたら、そんな事をするの?
【例2】
- あげんかっこ良か男見たことなか。→あんなにかっこいい男見たことないな。
- どげんかっこよかと?→どんな風にかっこいいの?
- この写真みてん。こげな男やん。→この写真みてよ。こんな男よ。
- そげんかっこよかと。超うらやましか。→そんなにかっこいいの?超うらやましい。
【説明2】
上の例2では、最後が「ん」で終わる場合と、「な」で終わる場合の使い方の違いがわかります。何回もこういう言葉に接していれば、だんだんわかってくると思います。
「もっといいもんばあげるけん」
これは、先程引き合いに出しました馬場が子供を慰めてるシーンで言った言葉で、P41から引用しました。
ここでは、2つ説明します。「ば」と「けん」です。
目的語を表す「ば」
【説明】
標準語で「◯◯を」と言うところで、「◯◯ば」と言い、目的語を表します。
【例】
- もっと力ば入れて押せ→もっと力を入れて押せ
- 蓋ばきちっとしてゆがかんといけんばい→蓋をきちんとして湯がかないといけないよ
- そこばもうちっと良くわからんといけんな→そこをもうちょっと良くわからないといけないね
接続助詞の「けん」
【意味】
「~から」という意味になります。
【例】
- 時間がなかったけん、連絡できんかったと→時間がなかったので、連絡できなかったんだよ
やけん
【説明】
ここは、「や」+「けん」で、「やけん」となり、「~だから」という意味です。
【例】
- やけん、あんたんこつが好きっち言いよーやん→だから、貴方のことが好きだと言ってるでしょう?
ちゃけん
【説明】
「と」+「じゃ」+「けん」で、「っちゃけん」となります。
【例】
- 良くかき混ぜとうっちゃけん、すぐに飲んでよかと→良くかき混ぜたのだから、すぐに飲んでいいのよ
- 「これからご飯ば準備しなあかん」「もう飯(めし)も炊いとっちゃけん、せんでよかと」→「これからご飯を準備しなきゃいけない」「もうご飯も炊いてるんだから、しなくていいの」
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この博多弁を喋れると貴方も博多っ子!?
さて、馬場探偵のセリフの意味から、その例を学んできましたが、ここでは、実際に日常生活で役立つ博多弁を紹介したいと思います。
■時間がない時の表現
- 時間のうて、おっこっせして、遅うなったたい→時間がなくて、バタバタして、遅くなったの
- あん人は、いっつも、時間のうてあせがるとよ→あの人は、いつも、時間がなくて急ぐとよ
- お前、そげんあせがって、どげんすーとや?→お前、そんなに急いでどうするの?
- 時間のうて、おっこっせしとーとよ。はよせんと、時間に遅れるばい。→時間がなくて、バタバタしてるのよ。早くしないと、時間に遅れるよ。
※あせがる=急ぐ。
(ばってん、私の父にこん言葉聞いたとやけど、知らんかったっチャン。)
■ご飯を食べる時の会話
- この飯(めし)、うまか!いけるやん。→この御飯、おしいよ。まだ食べれるよ。
- この御飯、あまりおいしゅうなか。
- この御飯、ばり美味しかばい。
■おらぶ
- 誰かいるかて思うて、おらんだばってん、誰もおらんかった。→誰かいるかと思って、叫んだけど、誰もいなかった。
- 暗かったけん、おらんで助けば求めたと→暗かったので、叫んで助けを求めたよ
- 遠かったけん、あん人、おらびんしゃったとよ→遠かったから、あの人大声だしたのよ
■人を指して話す時の博多弁
- あん人、きれいかばいね→あの人、きれいよね
- こん人、何かんがえとーと?→この人、何をか考えてるの?
- そん人、良う見かけるね→その人、良く見かけるね
- どん人?→どの人?
まとめ
さて、いかがでしたでしょうか。
今回は、博多豚骨ラーメンズの馬場探偵のセリフから、
- 「~してあげる」という意味の「ちゃる」
- 「そんなに」という意味の「そげん」
- 「そげん」に関係する言葉
- 目的を表す「ば」、そして
- 接続詞の「けん」と
- それに関係する言い回し
などを説明しました。
こういう基本を理解して、博多っ子みたいに博多弁を使えるようになると、また福岡市民の友達もふえ、コミュニケーションも豊かになり、博多豚骨ラーメンズの小説もさらにおもしろくなると思います。
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初めまして、福岡出身の者です。
記事面白く読ませて頂きました。
もし良ければ補足として記事に加えてほしいのですが、
博多弁の語尾に付けられる「〜ばい」は、若い人はまず使わないです。4〜50代(もっと上の年代かも?)以降の年代の方、そして失礼ですが、福岡の中でも田舎の方しか使わないです。
それから、「どげな」「そげな」も年配の方だけです。若い人は言葉を簡略化していく傾向があるので、「こげな」より「こげん」の方が言いやすいからです。
さらに、「どげんしたと?」よりも「どうしたと?」の方が非常によく使います。後者の方が文字数少ないですからね(笑)
そしてこれは未確認情報ですが、私も福岡では「あせがる」聞いたことないです。「おっこっせ」も聞いたことないです。
ただ長崎出身の祖父が使っているのを聞いたことがあるので、推測ですが長崎か佐賀の方の方言ではないでしょうか。
九州の方言は非常に似通っていて、どこまでが博多弁でどこからが佐賀弁、長崎弁、熊本弁、大分弁かわかりづらいです。(宮崎は福岡から少し離れてるので他四県に比べると少しわかりやすいです。鹿児島弁は抜群に濃いので別格です/笑)
さらに九州の中でも久留米や北九州の方は方言強めです。記事では北九州よりの方言を紹介していると感じました。その辺りも詳しく説明できるとより正確を期した記事になると思います。
では長々と失礼しました。
福岡のこと紹介してもらえるのはとても嬉しいので、これからも頑張ってください。